2017年7月19日水曜日

関節の話 その6

<他の病気との関係>


関節リウマチ

変形性関節症と同じように、関節に痛みや腫れが起こります。症状は似ていますが、限られた関節に症状が出る変形性関節症とは違い、関節リウマチは全身の病気であるため、発熱や貧血などが起こることもあります。関節リウマチが原因となって、変形性関節症が引き起こされる場合もあります。

閉塞性動脈硬化症

変形性脊椎症では、背骨の中を通っている神経が圧迫され、歩きにくくなることがありますが、似た症状が「閉塞性動脈硬化症」でもみられます。
閉塞性動脈硬化症とは、足の動脈に動脈硬化が起こり、血流が悪くなったり、血管がつまったりする病気です。足に十分な血液が送られなくなるため、痛みやしびれが起こり、少し歩くと、それ以上、歩き続けられなくなること(間歇性跛行:かんけつせいはこう)などが起こります

<変形性膝関節症の症状>

関節周囲の疼痛、腫脹、引っ掛かり感、違和感などがあります。

原因と病態

関節表面を覆う関節軟骨は軟骨細胞と関節外のⅡ型コラーゲンとプロテオグリカン(糖タンパク)が主成分です。関節軟骨には血行や神経線維の分布はありません。
関節症では機械的刺激などにより軟骨の変性・磨耗を生じ、また関節周囲を取り囲む滑膜の炎症が併発して変性が加速します。同時に関節周囲の骨軟骨形成などの増殖性変化を伴うこともあります。
それらの変化により血管増生や神経線維の増生をともなう関節包の線維化が起こり痛みが感じやすくなります。
図1 正常と変形性関節症の軟骨の模式図
(疾患別看護過程 医学書院 2008年12月15日 P.1501より)

関節の中では荷重関節として膝関節、股関節の関節症が重要です。上肢では労働者の肘関節がしばしば問題となります。50歳以上の1000万人が変形性膝関節症による膝痛を経験しています。
病態と症状の関連としては、関節炎に伴う自発的疼痛と腫脹、腫脹による動かしにくさや可動域制限が生じます。軟骨磨耗の進行により関節炎が起こりやすくなり、荷重の繰り返しにより疼痛を感じやすくなります。
軟骨が消失するとある程度以上の荷重刺激により疼痛を感じ、それを繰り返し、徐々に悪化していきます。
関節炎の繰り返しにより関節包の線維化が進行し、疼痛閾値が低下していきます。動き始めの動かしにくさも目立ってきます。
広範囲に軟骨が消失すると関節への負荷により疼痛を生じやすくなり、可動域制限が増悪し、動かしにくくなります。骨棘形成が進行すると関節拘縮を起こしやすくなります。


2017年7月18日火曜日

関節の話 その5

変形性関節症の原因


変形性関節症の原因はまだはっきりとは分かっていませんが、一次性関節症の発病には、次のようなことがかかわっていると考えられています。

①遺伝

家族に変形性関節症の方がいると、変形性関節症になる確率が高くなるという調査報告があり、何らかの遺伝が関係していると考えられています。

②年齢・性別

年齢が高くなるにつれて患者さんが増えてきますが、これは、年齢とともに筋力が弱くなり関節にかかる負担が大きくなることや、長年にわたり関節を使い続けて関節の軟骨がす
り減ってきたことなどが関係していると考えられます。
しかし、スポーツ選手やタイピストなど、特定の関節を使い続けた場合などでは若くても発症します。
男性にも女性にも起こる病気ですが、年齢が高くなるほど女性の患者さんが増えてきます。

変形性膝関節症の年齢別・性別発生頻度(gradeII以上)
「変形性膝関節症 病態と保存療法」古賀良夫編 南江堂 p43より引用

③肥満

太っていると膝や股の関節にかかる負担が大きくなるため、変形性関節症が起こりやすくなります。

④職業

特定の関節を長い間繰り返し使うと、関節の軟骨がすり減り、変形性関節症が起こりやすくなります。
スポーツ選手や肉体労働者、ピアニスト、タイピストなどは、よく使う部分の関節に変形性関節症を起こすことがあります。

※変形性関節症と似た症状が出る病気に、関節リウマチや閉塞性動脈硬化症があります。

2017年7月17日月曜日

関節の話 その4

変形性関節症における軟骨の変化

何らかの原因で、関節が体重などの負担に耐えられなくなったり、他の病気などで関節の働きが正常でなくなることで、関節に変化が起きます。
はじめは軟骨に小さな裂け目ができる程度ですが、少しずつ裂け目の数が増え、その裂け目が深くなっていきます。傷ついた軟骨では、コラーゲン線維の骨組みが壊れ、プロテオグリカンが失われ、軟骨細胞が減っていくため、軟骨はもろくすり減っていき、関節のクッションとしての役割を果たせなくなります。
また、滑らかな表面が失われるので摩擦が大きくなって関節を動かしにくくなります。

変形性関節症のはじめ(膝)


軟骨がすり減ると、骨同士が直接ぶつかるようになります。その結果、小さな骨折や骨が硬くなるなどの骨の異常が起こります。
こうした骨の異常を修復する働きが過剰に起こってしまい「骨棘(こつきょく)」といわれるトゲができることもあります。

変形性関節症が進んだ状態(膝)



2017年7月14日金曜日

関節の話 その3

変形性関節症の起こる仕組み


●関節の仕組み

関節は、骨と骨とがつなぎ合わされた部分で、骨の端にはクッションの役割と関節の表面を滑りやすく保つ役割を果たす軟骨があります。この二つの役割は関節の痛みのないスムースな動きに必要なものです。
関節は関節包という袋に包まれていて、その内張に滑膜という膜があります。この滑膜から分泌される関節液が潤滑油として働くことによって、関節はさらになめらかに動けるようにできています。
また関節液は、軟骨に栄養を送る働きも持っています。



●軟骨の仕組み

軟骨は、コラーゲン線維が作る網目状の骨組みの中に、プロテオグリカンという物質が加わって、軟骨細胞を取り囲んだ構造をしています。
プロテオグリカンはコンドロイチンなどが材料となって作ら
れ、軟骨の中ではヒアルロン酸と結合しています。水分とくっつきやすい性質があるため、このおかげで軟骨は水分を含んだスポンジのようになって、関節が受ける衝撃を吸収したり、骨と骨の直接の摩擦を防ぐ働きを持っています。


2017年7月13日木曜日

関節の話 その2

変形性関節症が起こりやすい関節 


変形性関節症の種類

変形性関節症はその原因によって、一次性関節症と二次性関節症に分けられます。

一次性関節症

 一次性関節症とは、原因がはっきりしない変形性関節症で、年齢や肥満などのさまざまな 要因が重なって発病すると考えられています。変形性膝関節症の多くは、このタイプです。

二次性関節症

二次性関節症とは、病気やけがなどが原因で起こる変形性関節症です。たとえば、関節リ ウマチや痛風、骨折、じん帯・半月板の損傷、生まれつきの関節構造の異常などが原因と なります。日本では変形性股関節症の多くは、このタイプです。 


2017年7月12日水曜日

関節の話 その1

変形性関節症って、どんな病気? 

骨と骨との間にあって、クッションの役割や滑らかな動きを可能にし ている組織が軟骨です。変形性関節症では、その軟骨がすり減って、 滑らかな動きができなくなり、大きな摩擦を生じるようになります。この状態では、壊れた軟骨などの組織のかけらによって関節の内側にある滑膜に炎症が起こったり、ときには水(関節液)が溜まって、腫れ上がることもあります。

変形性関節症は、関節に痛みや腫れが起こる病気です。
この病気では骨にも影響が及びます。軟骨の下の骨が硬くなったり、骨棘(こつきょく)という突起ができたりして、関節の変形が起こります。さらにこの状態を放置していると、関節の動きが悪くなることもあります。
はじめのうちは動き始めなどの限られた時に関節に痛みを感じるだけなので、受診せずに放っておく方も多くいらっしゃいます。しかし、その間にも病気は進行します。
いちど変形してしまった関節は、元に戻りません。
早めに病院・診療所へ受診し、適切な治療を始めることがとても大切です。


変形性関節症が起こりやすい関節 

変形性関節症は全身のあらゆる関節に起こります。そのなかでも、とくに症状を起こすと日常生活が不自由になりやすいのは、からだ を支え体重の負荷がかかっている膝(ひざ)、股(また)の関節、 背骨の腰の部分(脊椎)などです。
それぞれ、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょ う)、変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)、変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)と呼ばれています。この他にも手指の関節にも変形性関節症は起こり、指の変形の原因となります。
もちろん、首や足の指、肩、肘などの関節にも起こります。

エコジャパン21本社が移転しました

6月中旬、エコジャパン21本社が葵区緑町から同区竜南1丁目に移転しました。